第27回GJS講演会を開催しました

2018.06.04
タイトル: 和辻哲学の視点による「尊厳」の再構想
講演者: ジョン・マラルド名誉教授(米国ノースフロリダ大学)
日時: 2018年5月29日(火), 16:00~18:00
会場: 東京大学東洋文化研究所 第一会議室(3階)
使用言語: 英語

GJS講演会の報告

5月29日、ノースフロリダ大学のジョン・マラルド教授を招いて「和辻哲学の視点による『尊厳』の再構想」と題する講演会が開催されました。講演は、マラルド教授の現在のリサーチに基づくもので、人間存在が根本的に関係性に基づくものであったとしたら、「尊厳」概念はどのように再構想できるのか、との問いに答えるものです。マラルド教授は、西洋における近代的な「尊厳」概念は個人に属するものでありながら、一方で他人からの尊敬を必要とする両義性をもった概念であると指摘しました。教授は、自らのアプローチを比較哲学ではなく対照哲学であると規定したうえで、和辻哲郎の哲学はこの「尊厳」概念の矛盾をあきらかにし、グローバルな文脈において再構想する可能性を与えるものであると論じました。しかし同時に、和辻哲学の共同体における階層性などの問題を指摘することも忘れませんでした。興味深い問題提起に対し、和辻哲学の持つ現代への妥当性についてさまざまな質問が寄せられ、詳細な討論が行われました。

当日の様子