終了

第22回 国際総合日本学ネットワークセミナー(第143回東文研・ASNET共催セミナー)蔵原惟人と自然主義―1920年代の日本における人間性の表現をめぐって

日時: 2016年6月16日(木)17:00~18:00
会場: 東京大学東洋文化研究所 1F ロビー
発表者: チンユエン・レイ(プリンストン大学 東アジア学部 博士課程)
使用言語: 英語
GJS_seminar_20160616_2

発表概要: 本発表では、1920 年代から1933 年までの日本における自然主義とマルクス主義の関連性について検討する。蔵原惟人は、1928 年に発表した「プロレタリア・レアリズムへの道」において、自然主義の文学とプロレタリア文学の根本的な違いは個人と社会の関係にあり、自然主義において表象される個人は社会から孤立していると批判した。蔵原に続き、1920 年代の日本のマルクス主義者たちは、マルクス主義を「社会科学」として樹立させようと試み、一定の成功をもたらした。しかし、マルクス主義を社会科学として樹立させる運動は、「自然科学」、また当時定着しつつあった「人間性」の概念との矛盾を解決することができなかった。「人間の本質はあるのか」、また「人間と自然の間の関係とは何か」という、人間性をめぐる問いは、日本のマルクス主義の論議の中心において答えられないままになされてきた。

主催:東京大学国際総合日本学ネットワーク(GJS)
共催:東京大学東洋文化研究所 日本・アジアに関する教育研究ネットワーク(ASNET)
問い合わせ:gjs[at]ioc.u-tokyo.ac.jp