「国際総合日本学ネットワーク」について
急速にグローバル化が進む世界の中で、今後の研究者・学生のモビリティを考える上で、日本研究のイノベーション/リノベーションは欠かすことができません。英語という「普遍言語」が世界的に拡がる中で、「日本で/を学ぶ意味」が今まで以上に鋭く問われているからです。
国際本部に設置されたグローバルキャンパス構想推進室では、2012年11月に「国際総合日本研究専門部会」が設けられ、「他者研究としての日本研究」と「自己研究としての日本研究」の交差・融合をめざす「国際総合日本学(Global Japan Studies)」のあり方をめぐって議論を重ねてきました。また、本学における研究者ネットワークの形成、研究情報の発信、横断型教育プログラムの開発などの方法についても、意見交換を行ってきました。その結果、研究者ネットワークの形成と研究情報の発信については東洋文化研究所、横断型教育プログラムの開発については法学部を、それぞれ責任部局とし、国際本部がこれを全面的にサポートする形で、準備が整ったところから順次活動を開始することとなりました。
本学には、部局横断型組織として、すでに日本・アジアに関する教育研究ネットワーク、通称ASNETが活動しています。国際総合日本学もASNETと同様、関係者の連携と協力によって、積極的に活動を展開していって下さればと期待しています。
羽田正(東京大学・副学長)
ネットワーク長の挨拶
海外には、日本学(Japan Studies)と銘打った学科や学部、学会が数多く存在しています。そして、それぞれの国や地域に特徴的な研究テーマが存在し、独自な成長・発展を遂げてきました。日本国内ではさほど知られていなくても、世界的に「日本研究の専門家」として認知されている研究者が数多くおられます。
他方で、日本国内では、多くの研究者が日本の政治や経済、社会、文化を本格的な研究対象としていながら、みずからを「日本学を研究している者」と思っている方は、さほど多くありません。日本の研究者であるため、みずからの政治や経済、社会、文化などを研究することが自明視されていたからです。
本ネットワークは、日本の日本研究を世界に開くとともに、海外の日本研究を日本に開くという、「二重の開放」をめざします。そしてそのために、海外の日本研究者が本学を訪問され、研究・教育活動をされる方の情報や、本学における日本研究に関わる方々の研究成果の発信、新しい日本理解をめざした教育プログラムの開発などを展開していきます。
「他者研究としての日本研究」と「自己研究としての日本研究」の交差・融合には多くの困難を伴うでしょう。しかし、その過程で、多くの発見があるはずです。
今後の国際総合日本学ネットワークの発展にご期待ください。
藤原帰一(法学政治学研究科・教授)