「東京学派」研究(科研費助成事業)第1回ワークショップを開催しました

2018.06.15
ワークショップタイトル: 「アジアの概念化」
発表者とタイトル: 磯前順一・国際日本文化研究センター教授 「内在化する『アジア』という眼差し: アジア的生産様式論争と石母田正」
松田利彦・国際日本文化研究センター教授 「植民地朝鮮における東京帝国大学の学知―服部宇之吉と京城帝国大学の創設をめぐって」
日時: 2018年6月15日(金), 14:00~16:00
会場: 東京大学東洋文化研究所 大会議室(3階)
使用言語: 日本語

報告
学振基盤B研究プロジェクト「東京学派の研究」の第一回ワークショップ「アジアの概念化」が6月15日、開催されました。研究代表者の中島隆博教授がプロジェクトを紹介し、続いて国際日本文化研究センターの磯前順一教授と松田利彦教授による講演が行われました。さらに5名の東京大学の教授が磯前教授と松田教授と議論を交わし、最後にオーディエンスとの質疑討論を経て閉会となりました。
磯前教授は、サイードのオリエンタリズムとラカンの鏡―主体化理論を導入し、マルクス主義の「アジア的生産様式」概念が戦前と戦後日本においてどのように語られ、どのような自己認識のための矛盾が持ち出されたかを問いとして、歴史家の石母田正をはじめ当時の思想家たちの知的な苦闘を歴史的に辿り、分析しました。松田教授は京城帝国大学の初代学長であった服部宇之吉の研究と経験を通し、東京帝国大学で生み出された学知とそこで作られた知識生産の組織編成の様式が如何に植民地統治と経営に直接かかわったかを分析し解明しました。
ワークショップを通して、東京大学を中心とした学知が、国民国家の枠に収まらない範囲でどのように形成し流通し、そのなかでアジアがどのように言説化されたかについて生産的な議論が行われました。また、西洋近代の学知の対象であったアジアと、そしてその一部である日本が自己をどう位置づけるかという問いが、複雑な構造においてなされたものであったことが、多面的かつ深い議論を通じてあきらかにされました。
 

当日の様子